クリスマスケーキ

クリスマスケーキの由来や起源を知る~世界と日本のクリスマスケーキの歴史~2018.11.22

クリスマスに欠かせないクリスマスケーキには、実は古い歴史があります。今や定番とも言えるクリスマスケーキの由来や起源を、時代をさかのぼってご紹介します。また、日本以外の国々で親しまれているクリスマスケーキの歴史についてもお届けします。

クリスマスケーキの由来・起源

クリスマスにケーキを食べる文化は、中世ヨーロッパではすでに確立していたと言われています。しかし、クリスマスケーキが食べられたはじめた由来や起源についての、はっきりとした背景はわかっていません。

ただケーキはもともと、季節の祝いごとと深い関係があり、儀式などにも用いられてきました。クリスマスもキリストの降誕を祝う季節の儀式にあたるため、大切なイベントとして古くからケーキを食べる習慣が根付いたのでしょう。

クリスマスケーキとして記録が残されている中でも、古い歴史を誇るのがドイツ発祥の「シュトーレン」。聖ミヒャエル祭という収穫のお祭りとクリスマスに食べられていたと言われ、14世紀以前から、ドイツのクリスマスケーキの定番でした。クリスマスという文化の発祥もヨーロッパからですので、クリスマスケーキを食べる風習もドイツで誕生したと考えられます。

世界の国々のクリスマスケーキ事情

クリスマスに食べられる定番のケーキの種類は、国によってさまざまです。同じスイーツの枠組みであっても、甘い味付けがなされているものから、パンに近いものまであります。そんな世界のクリスマスケーキ事情をまとめました。

ドイツ「シュトーレン」

シュトーレン

シュトーレンの特徴

古くからクリスマスに食べられていたという記録が残るシュトーレン。正式なシュトーレンは、ドレスデンで製造され、材料・分量・製法が定められた内容であるなど厳しい規定が設けられています。この規定に則って製造されたものに限り、シュトーレン保護組合認定による品質保証シールが貼られるなど、由緒あるクリスマスケーキです。

一般的なシュトーレンの作り方はフルーツやナッツを混ぜ込み、バターをふんだんに使用した生地をのばし、2つ折りにして形を整えます。それをオーブンで焼き上げ、表面にバターを塗り、粉砂糖をふりかけるとシュトーレンの完成です。

本場ドイツでは、アドベントの間、シュトーレンの山を崩さぬよう少しずつ薄くスライスするのが伝統的な食べ方です。

シュトーレンの起源・歴史

シュトーレンは、1392年の公文書にその名がはじめて載ります。当時は水・酵母・小麦粉以外の使用が禁じられており、とてもシンプルなパンでした。その後ザクセン選帝侯が、バターの利用を後押ししたことにより、現在のようなケーキの姿になりました。

「シュトーレン」という言葉は、トンネルなどの意味があるのですが、由来については現在でもわかっていません。またケーキの形は、子供のころのイエス・キリストのおくるみ姿をイメージしたと言われています。

フランス「ブッシュ ド ノエル」

ブッシュ ド ノエル

ブッシュ ド ノエルの特徴

フランス語で、「ノエル」はクリスマス、「ブッシュ」は木や丸太を指すことから、「ブッシュ ド ノエル」は「クリスマスの薪」という意味です。

その名の通り薪に見立てたロールケーキが一般的です。バターや牛乳、ココアパウダーの入った生地をオーブンで焼きます。焼き上がったケーキの上にチョコレートクリームやココアクリームを塗り、それを巻いて仕上げることで丸太の年輪を表現しています。最後に、フォークで表面に木目のように模様をつけて完成です。

シンプルにクリームのみで作られるのが主流ですが、フルーツを一緒に巻くなど家庭ごとにそれぞれ独自のアレンジをして食べられることもあります。

ブッシュ ド ノエルの起源・歴史

ブッシュ ド ノエルの由来は、クリスマスの風習がはじまる前に行われていた、ユールという冬至祭であると言われています。ユールでは、薪を燃やして1年の幸せを願っていました。その後19世紀になってクリスマス文化が定着し、ユールで用いる薪をモチーフにしたブッシュ ド ノエルがパリで生まれたと考えられています。

イギリス「クリスマスプディング」

クリスマスプディング

クリスマスプディングの特徴

プディングと聞くと、柔らかく甘い食べ物を想像しがちですが、クリスマスプディングはどちらかというとパンに近いフルーツケーキです。クリスマスの1ヶ月前に家族みんなで生地の用意をするのが、イギリス流。パン粉に卵や牛・羊の脂を加え、そこにレーズンなどのドライフルーツとナッツをたっぷり入れます。作った生地を弱火で蒸した後、クリスマス当日まで熟成させます。クリスマスに再度生地を蒸し、ラム酒やブランデーをかけた後フランベして食べます。

フランベされ青く燃え上がるクリスマスプディングは、聖夜にふさわしい幻想的な雰囲気へと人々をいざないます。

クリスマスプディングの起源・歴史

中世のイギリスでは、果物やスパイス入りの濃厚なスープ「プラムポタージュ」やおかゆ状の「フィギープディング」が民衆に親しまれていました。しかし1640年に清教徒革命が起こり、一度禁止令が出されます。

革命終了までの約20年のときを経て、フィギープディングも解禁となりますが、さらに時代の波に影響を受けながら進化を遂げ、現在の形となりました。

クリスマスのイメージが定着した背景は1843年に出版された、名作「クリスマス・キャロル」です。劇中でヴィクトリア女王がクリスマスに食したことで、定番デザートとして広く国民に認められるようになりました。

イタリア「パネトーネ」

パネトーネ

パネトーネの特徴

パネトーネは、レーズンやレモン、オレンジなどのはちみつ漬けのドライフルーツが入った円柱型のケーキです。イタリアでは「一定の基準を満たした材料で定められた製法でのみ作らなければならない」という法律が定められているほど伝統的なクリスマスケーキです。

パネトーネの作り方は砂糖やはちみつ、バターの入った生地を発酵させ、ガス抜き後にさらに寝かせます。その後、生地にドライフルーツのはちみつ漬けを加えてこねます。オーブンで焼き上げて粉砂糖をまぶすとパネトーネの出来上がりです。

はちみつがたっぷりと使用されていますが、意外と甘くなく、バターやフルーツの香りが鼻をくすぐります。宗教色の強い意味を持って作られるパネトーネは、頭部に十字が刻まれたものが多く、縦に切り分け、みんなで食べるのが伝統です。

パネトーネの起源・歴史

パネトーネは、古代ローマ時代に原型が完成したとされています。キリスト教が布教しクリスマスを祝う文化が誕生した後、ミラノで現在の姿となり、クリスマスのお菓子として親しまれるようになりました。クリスマスに食べられるようになる前を含めると、とても歴史のあるお菓子です。

パネトーネの語源は、パンを表す「パネ」と大きいことを指す「トーネ」であり、誕生当時のお菓子やパンの中で、パネトーネはひときわ豪華で大きかったことが由来していると考えられています。

現在では、南米諸国でも有名なケーキとして知られ、ブラジルなどでも製造・販売がされています。南米では、チョコレートやオレンジの味つけがされたものも流通しており、イタリアだけでなく世界で愛されるケーキとなりました。

日本でもクリスマスケーキが食べられるようになった由来

キリスト教徒が他国に比べて少ない日本でも、クリスマスにケーキを食べることはお馴染みです。しかし、クリスマスケーキが日本に定着したのは20世紀。ヨーロッパ諸国よりもかなり後になってからです。

日本のクリスマスケーキの原型は1910年、大手お菓子メーカーの創業者がアメリカに修行にわたり、現地で学んだケーキを日本風にアレンジしたものが発祥です。1922年にはそのメーカーがクリスマスケーキとして販売し、クリスマスにケーキを食べるという風習が広まりました。

販売されたクリスマスケーキは、白と赤色を使ったもので、これが日本に古くから根付く「紅白」をイメージさせ、人気を後押ししました。現在では、さまざまな姿形のクリスマスケーキが販売され、毎年クリスマスを彩ります。

クリスマスケーキは多種多様 思い出に残るクリスマスはケーキ選びから

クリスマスケーキの起原や由来、世界で知られるケーキの歴史をご紹介しました。同じクリスマスでも、国が違えば定番のケーキの形はさまざま。中でも日本では、たくさんの種類のケーキが販売され、毎年注目を集めています。

人気商品は早期に完売してしまうこともあるため、お早めの検討がおすすめです。お好みのケーキを囲んで、とっておきのクリスマスをお過ごしください。

参考文献

二コラ・ハンブル(2012)『お菓子の図書館 ケーキの歴史物語』(堤理華訳)原書房
舟田詠子(1999)『誰も知らないクリスマス』朝日新聞社